被災者の方々に働く場を

連日ブラウン管から流れてくる、想像を絶する光景に、ただただ言葉を失うばかりだ。救援物資を送るにも、その術がない。そんな中で多くの仲間たちが、被災地、或いは周辺地域で、復旧活動に身を投じている。うれしくもあり、頼もしくもある。そして、頭が下がる思いでいる。みんな、お金を稼ぐことは上手くはないが、「生きる」ことに対しては真剣だ。だから、きっと長年友人でいられている。君たちは、ぼくの誇りだ。

私にできることはないか、多くの国民の皆さんとおなじく、私も毎日そう考えている。そこで、ふと考えた。みんなこれからの生活をどのようにして再建していくんだろう、と。住む家を失い、職場を失い、これからどうしていくんだろう、と。いまは緊急の避難だが、やがて収入を得る必要がでてくるはず。そのとき、どこで、何をすればいいのか、何ができるのか。

ほかの業種のことはわからないが、私どものような醸造業というのは原料を仕入れてから、醸造し、出荷して現金が入ってくるまで、一年単位で長い時間がかかる。もしかして、被災地の工場や会社は保険等である程度の補償はされるのかも知れないが、従業員の方々はそうはいかない。会社が再建されるまで、どうやっていけばいいんだろう。

そこで、被災者の方々の期間限定での臨時雇い入れ制度を作ってみてはいかがだろうかと考えている。私どものような醸造業はそれなりの経験と技術が必要で、いきなり誰にでもできる仕事ではない。だから、新規での採用となるとなかなか難しい面もあり、うちでも募集をかけたことはない。(もっとも、家内制手工業のレベルなので従業員を雇うこともできないのだが)しかし、即戦力になる経験者であれば、話は別。ぜひ、その技術を、会社が再建されるまでの期間、ほかの町で、ほかの事業所で、生かしてはくれまいか。もちろん、もとの会社が再建できたときは戻れるという条件付で。

私どものような零細だけでは数人にしか対応できない。しかし、多くの事業所で、多くの業種で、さらに国をあげて取り組んでくれたら、多くの被災者の方々の生活が守られるのではないだろうか。

ぜひ、そのための仕組み作りに、取り組んでみたい。